知る人ぞ知るオフショア生保商品 ~リスク・デメリット編~

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Offshore fund

前回まででオフショアファンドの概要やメリットを中心にお伝えしてきました。最終回となる今回はデメリットや注意点について解説していきます。

オフショア生保商品投資のリスク・デメリットや注意点

商品上のリスク

ラップ口座や積立型商品についてはオフショア生保会社が登録しているケイマン諸島やマン島などの金融当局の規制に従って一定の投資家保護制度が取られています。

万が一オフショア生保会社が破綻等になった場合には保有資産の時価の90%が支払われる仕組みが整っています。

しかし、肝心のポートフォリオの中身となる各ファンドについては元本毀損リスクやファンド自体の破綻リスクについて考慮して選ぶ必要があります。

ブラックロックをはじめとする大手運用会社のETFなどでは滅多にファンドの支払停止などの問題が発生することはありませんが、中小の運用会社から提供されるオルタナティブファンドなどを中心に運用会社やファンドマネージャーによる詐欺や横領、金融当局の行政指導などによるファンド元本や配当の支払い停止や中止などが発生する事例がかなりあります。

オフショア生保会社ではこれらのファンドを一定のスクリーニングをした上でラップ口座や積立型商品の中で投資対象として認定するようにはしていますが、万全ではありません。
最悪の場合、配当だけでなく元本も戻らないという事態が発生するリスクもあります。

手数料が高い

オフショア生保のラップ口座や積立型商品ですが、その手数料は総じて高いのがデメリットと言えます。

生保会社によって手数料に違いはあるものの、「Establshement Fees」と呼ばれることの多いファンド開始直後の数年にわたり発生する設立費用の他、管理費用やリバランス時などに発生する商品発注手数料などを合わせると、年間の総手数料は2~3%前後はかかるものが多いと言えます。

つまり最終的にそのような手数料以上の運用益を得られなければ、メリットがないことになってしまいます。

途中解約ペナルティの存在

オフショア生保のラップ口座や積立型商品は中長期運用を前提としているため、投資開始から2~3年で途中解約する場合にはペナルティとなる手数料が発生することに注意が必要です。

特に開始から1年未満での解約の場合、投資元本のほとんどが手数料で消えてしまい、戻ってこないものと考えておいたほうがいいでしょう。

あくまで余剰資金でおこない、途中で予定が変わって解約する必要がないようにしておきたいところです。

海外の日本人IFAの注意点

IFA(Independent Financial Adviser)はどの金融機関にも属さない中立性や独立性を謳い文句にしているフィナンシャルアドバイザーですが、ポートフォリオ構築からリバランス、さらに出口戦略まで投資に関するアドバイザーとして投資する顧客にとっての拠り所であるべき存在です。

従って商品知識だけでなく、商品選択の際の中立性や客観性が備わっていることはもちろんですが、マーケットや税務にも広く精通していることが求められます。

オフショアファンドを購入する場合、たいていの方は言葉の問題から香港やシンガポールなど海外在住の日本人IFAから購入する場合が多く見られます。

しかし、注意すべき点としては上記のような資質や金融知識を欠いているアドバイザーが多い点が挙げられます。
そしてさらに問題なのがコミッションの存在です。

つまり、IFAとは名ばかりで、単にコミッション欲しさの営業マンにすぎないという方が多いのが実情だからです。
このあたりは日本の証券会社や保険会社の営業担当者と事情は似ているかもしれません。

従って、しっかりとした出口戦略まで含め、経験豊富なアドバイザーが見つかればいいのですが、中々そうはいかない点が難しいところだと言えそうです。
既に取引関係にあり、優れたアドバイザーを知っている方などからの紹介があればいいのですが、そのような機会の無い方も多いと思われます。

もし、見極めるのが難しければ、一つの手がかりとしてその方の過去の投資経験や実績、さらに投資の開始時点から出口までどのような戦略や考え方を持っているのかについて尋ねてみるのもいいでしょう。

投資経験が皆無な場合や納得できる回答が得られないようなら、商品選択は全て自分でできるという方以外はそのアドバイザーからの購入は見送るべきと言えます。

税務上の注意点

オフショアファンドが税務面で有利なのは日本の非居住者で、その方が居住する国の税務上、国外の金融商品からのリターンに対して非課税か低い税率が適用されている場合のみとなります。

つまり、日本国内の居住者の場合、オフショアファンドからのリターンについては税務控除額以上の収入がある場合には課税対象となり、確定申告をしなければなりません。
つまり、日本の非居住者においては税務上のメリットはないということになります。

中には海外で投資するのだから、大丈夫と考える方もいますが、日本の金融機関は顧客の送金情報を税務署に開示する義務があります。

従ってそのような国内の金融機関からオフショア生保会社の指定口座へ海外送金する時点ですでに税務署には紐付けされていると考えるべきです。
くれぐれも抜け駆けできると考えるのは禁物と捉えておくべきでしょう。

オフショア生保商品投資リスク・デメリットまとめ

オフショアファンドへ投資する場合にはメリットだけでなく、日本国内の金融商品を購入する以上に様々なリスクや注意点について検証する必要があります。

もし、オフショアファンドに投資する場合にはこれまでにお伝えした内容も参考にしながら慎重にすすめてみてください。

知る人ぞ知るオフショア生保商品 ~基本編
知る人ぞ知るオフショア生保商品 ~メリット編

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