オフショア生保商品は知る人ぞ知る海外の投資商品ですが、中々実態がわかりづらい面もあるようです。そこで今回から数回にわたり、その仕組みや特徴、契約形態、メリットやデメリット、さらに購入を検討する場合の注意点などについてご説明していきます。第一回目の今回はオフショアファンドの仕組みや特徴などに絞ってお伝えします。
オフショアファンド投資(オフショア生保商品)とは?
オフショア生保商品の仕組みと特徴
今回ご紹介するオフショアファンドとは、海外のオフショアエリアにある欧米系の大手生保やオフショアファンド会社によって提供されているラップ口座や積立型ファンドのことです。
紙面の都合上、その全てを詳細にご紹介することはできませんが、今回は概要についてご説明していきます。
まず、オフショアファンドの目的ですが、主に個人のための資産運用や個人年金の構築などが挙げられ(法人契約も可)、その主なメリットは2つ挙げられます。
そのメリットとしては資金投入したオフショアファンドを介してETFやオルタナティブファンドなど世界中の様々な複数の金融商品に投資することでリスク分散投資が可能になる点と解約して出金するまでは課税が繰り延べされ、複利運用できる点にあります。
また、中には円資産を外貨建て資産に移し替えることで長期的な目線で見た場合のリスク分散を可能になる点を挙げる方もいるでしょう。
さらに世界のどこに居住していても、居住地に関係なく投資継続が可能ですので、海外移住している方や海外転勤が多い方にもメリットがあると言えるかもしれません。
オフショアファンドへの投資ですが、最低5年から10年、20年以上といった中長期の運用を前提としています。
その仕組みは一括型なら日本円で数百万円単位のまとまった資金、積立型なら毎月数万円ずつの資金をベースに投資信託、ETF(上場投資信託)、債券ファンド、仕組債、リート、MMF、プライベートエクイティ、ヘッジファンド、外貨預金など多くの金融商品の中からオーダーメードでポートフォリオを構築しながら分散投資していきます。
ポートフォリオについては投資する方のリスク許容度やライフプランなどをヒアリングするIFAと呼ばれるファイナンシャルアドバイザーなどの助言の基、商品特性なども考慮しつつ構築されます。
ラップ口座や積立型投資自体は日本の金融機関でも取扱いがあり、近年ではロボアドバイザー投資なるAI(人工知能)を利用したサービスまで登場してきており、人気を集めつつあります。
しかし、商品選択の幅やポートフォリオ構築の自由度といった点ではオフショアファンドのほうがはるかに優れており、それがこの商品に魅力を感じて投資している日本人投資家の選択理由にもなっています。
オフショアファンドの名称とタックスヘイブン
オフショアファンドあるいは別名オフショア生保商品とも呼ばれることの多い商品名の由来ですが、マン島やケイマン諸島などのタックスヘイブンで登録されたファンド会社の商品で、その多くが欧州系の大手生保会社のグループ子会社や独立系の中規模なファンド会社から提供されていることからそのように呼ばれています。
従って、日本の金融庁登録の会社は一切なく、登録されているタックスヘイブン内の金融当局のレギュレーションで登録・管理されています。
尚、タックスヘイブンの意味ですが、無税または低税率という税制優遇措置租税回避地域のことです。
このタックスヘイブンで登録、営業している法人は税務上の優遇を受けられるため、オフショアファンド会社は投資家に低コストかつ非課税で世界中の様々な商品に投資できるというメリットをもたらすことができます。
投資条件や手数料
オフショアファンドはファンド会社によって最低投資金額や最低預入期間などの条件は異なりますが、商品としては一括投資型商品(ラップ口座)、小額一括投資型商品(ベイビーボンド)、積立型商品(レギュラーセービング)の3種類の商品が提供されています。
例えばある大手のオフショア生保会社の商品の場合、ラップ口座とベビーボンドのそれぞれの最低預入額は75,000USドル以上と30,000USドル以上、積立型のレギュラーセービングの毎月の最低預入額は300USドル以上となっており、最低預入期間はいずれの商品も5年以上となっています。
これらの条件は契約する会社やその商品により異なりますが、ある程度のまとまった資金が必要な投資と言えるでしょう。
また、運用時の通貨と手数料についてですが、まずオフショアファンドの対象通貨は主要国通貨が取り扱われており、会社によっても異なりますが米ドル、日本円(取扱いのない会社もあり)、ユーロ、ポンド、オーストラリアドルなどから選べます。
この中で仮に日本円を選択して資金を投入したとして、実際にファンド内で投資する対象ファンドは基本的に米ドル建てなどの外貨建てですので、投資の始めと終わりで2回の為替リスクが発生します。
この場合、運用成績表は日本円換算と自分のポートフォリオ内の各ファンドのオリジナル通貨と2本立てで表示されます。
次に手数料ですが、一括型と積立型で手数料体系は異なります。
例えば一括型の手数料の場合、その名称は各社で異なりますが、概ね「Establishment Fees」などと呼ばれる初期手数料と「Management Fees」と呼ばれる管理手数料、ディーリングコスト(新規投資やポートフォリオの組み替え時の発注手数料)などのその他費用から成り立っています。
尚、オフショアファンドの手数料は各社で多い少ないはあるものの、総じて日本の金融機関で購入できるラップ口座よりも高いというイメージで間違いないと思われます。
オフショア投資基本編まとめ
今回はオフショアファンド(オフショア生保商品)の概略についてお伝えしてきました。
次回以降はそのメリットやデメリット、注意点などについてご紹介していきます。