アメリカ・中国の貿易摩擦と保護主義 ドル円相場への影響

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Harley

2018年3月からアメリカと中国の貿易摩擦から始まり、最近では日本を含む同盟国に対しても圧力が強まっています。
そこで今回は「貿易摩擦問題・保護主義」に焦点を当て、現在起こっている問題の内容・貿易問題がドル円市場やコモディティにどれだけの影響を与えているのか分析・考察・予測します。

アメリカの貿易問題・保護主義による相場への影響は一時的に収まるか

中国の対米投資が9割減となる

1つ目の貿易摩擦問題として大きく取り上げられているのが、中国の1月~5月期の対米投資が前年比で約92%も減っていることです。

大きな原因は冒頭でも触れたように、アメリカによる関税措置や他圧力が関係していると考えられます。

特に中国企業は、トランプ大統領から突然関税措置や圧力の矛先を向けられるのではないかと、不信感を抱いているので尚更両国の関係が冷え込んでいます。

また、国内の報道などでは、アメリカが貿易問題を拡大しているという見方が多いが、中国の拡大政策に対する対抗策という側面も含まれている。

中国は一帯一路政策や、南シナ海などでの影響力拡大の動きを見せており、防衛費も年々拡大を続けています。

従って、アメリカは経済的な側面から締め付けを強める事で、拡大政策に対するけん制をしているとも考えられるだろう。

EUはアメリカに対して報復措置を承認

2つ目は、アメリカによる同盟国に対する関税措置です。中国に対しては安全保障上の対抗策としても考えられましたが、こちらは保護主義政策の一環といえるでしょう。

例えばアメリカは、以前からEUに対しても鉄鋼・アルミニウムの関税措置を実行しており、EUはこれを不当な決定としてWTOに提訴していました。

しかし、解決の見通しが立たたない中、6月22日にEU:欧州委員会はアメリカに対する報復措置実行の承認を発表しました。

会見によると、関税措置の内容はアメリカから輸出される製品約3,600億円の関税導入とのことです。

既にアメリカ国内の企業で報復措置の影響が見られており、ハーレーダビッドソンは製造拠点を国外移転の準備をしています。

この件について、トランプ大統領はTwitterで苦言を呈していますが、現時点ではそれ以上の動きはありません。

日本を含む同盟国に対してイランからの原油輸入完全停止を要求

3つ目は、貿易問題というよりもアメリカの保護主義政策に基づく、イランへの経済制裁を強める動きの一環として、同盟国にも圧力を掛けている状況といえます。

その問題とは、アメリカの同盟国に対してイランからの原油輸入を2018年11月4日までに完全停止するよう要求したという内容が6月26日に公開されました。

今回の要求は日本に対しても直接要求をしており、原油輸入国として非常にハイリスクな状況に立たされています。

6月27日時点で、詳細な情報は公開されていませんが、既に原油先物市場で大きな動きが起きています。

この情報が発表された後に、約1ヶ月ぶりの70ドル台を1日で突破し、期限となる11月までFX相場にも影響を与えそうです。

相場は貿易摩擦を過剰反応と捉えつつあるが依然として落としどころが見えない

ドル円相場を例にとると、6月26~27日の時点で一時110,0~110,2円という上昇を見せたので、アメリカを中心とした貿易摩擦問題に対する警戒感が多少薄れたと分析することができます。

しかし6月26日に報道された、イランからの原油輸入完全停止の要求もあってか109,8円を切る相場となり、上値が重い展開が続いています。

トランプ大統領は、依然としてアメリカファースト・保護主義政策のスタンスを変えておらず、鉄鋼・アルミニウムの関税措置の継続など他国との対立姿勢を明確にしています。

また、それに対して、中国も徹底抗戦の構えですしEUやカナダも第二の報復措置導入を進めています。日本は、イランからの原油輸入完全停止要求の対応と、今後円安の動きが重なれば相場のみならず生活への影響も考えられます。

アメリカとの貿易・原油問題が続く限り、ドル円相場の上値は重い展開が継続しそうです。

参考情報
ハーレー、一部工場を米国外に移転へ EUの報復関税発動受け|cnn
EU、米への報復関税を承認 22日から発動|cnn
中国の対米投資、92%減少 トランプ政権政策を警戒か|cnn

 

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