1月15日、金融先物取引業協会はウェブサイトにて1月3日に発生したロスカット等未収金についてデータを公表しました。
1月3日といえば、外国為替市場でドル/円が暴落し、わずか5分あまりの間に108円台後半から一時的に104円台まで一気に下落した「フラッシュクラッシュ」が発生した日です。
通常、金融先物取引業協会は、毎月中旬に前月分の「ロスカット等未収金発生状況」を公表していますが、1月3日に発生したロスカット等未収金発生状況については、例外的に速報値として1月15日に公表しました。
今回発生したフラッシュクラッシュは、たった3時間で2018年のドル/円相場の値幅の半分を達成するほどの異例の暴落だっただけに、金融先物取引業協会としてもロスカット等未収金を例外的に早期発表したものと思われます。
狙われる日本の「3連休」、個人投資家は為替暴落に警戒を
過去の「フラッシュクラッシュ」と3つの共通点
今回のようなフラッシュクラッシュは、2016年1月にも発生しています。
2016年1月11日の月曜日、日本が成人の日で薄商いとなる中、南アフリカランド/円が急落、8日金曜日のクローズ時点では7.2円あたりで推移していた南アフリカランド/円は、11日月曜日早朝、わずか20分ほどの間に6.2円あたりまで暴落しました。
今回のフラッシュクラッシュと、2016年1月に南アフリカランド/円急落によって発生したフラッシュクラッシュには、3つの共通点があります。
いずれも「アジア時間の早朝」、しかも「日本の連休中」に発生し、個人投資家がスワップ目当てでロングしている「高金利通貨」がフラッシュクラッシュの引き金となっています。
今回の1月3日に発生したフラッシュクラッシュは、米アップルが業績下方修正を発表し、ドル/円が急落したことが原因という説をよく聞きます。
しかし当時のチャートを見ると、ドル/円が急落する30分前ぐらいにトルコリラ/円が大台の20円を割り込んでおり、トルコリラ/円が暴落を主導したとする説が有力となっています。
狙われる日本の個人投資家
この2つのフラッシュクラッシュが、アジア時間の早朝、かつ日本の連休中に発生したことは、決して単なる偶然ではありません。
その時間帯は市場の流動性が最も低く、ヘッジファンドなどの投機筋が攻撃を仕掛ける絶好のチャンスなのです。
日本市場が連休で休場になっている場合、ヘッジファンドなどの投機筋にとっては、シンガポール市場と香港市場が開く前のオーストラリア市場が主戦場になります。
日本が休場の場合でも、信用取引に応じるFX業者は毎日資産を時価評価し、損失が一定水準に達すればポジションを清算しなければならず、ほとんどの業者が日本時間午前7時ごろにポジション清算を行っています。
また、日本の個人投資家の多くがスワップ狙いで高金利通貨をロングしており、トルコリラの他に南アフリカランド、メキシコペソなどの高金利通貨のロングポジションが積み上がっていました。
出来高が少なく、流動性が低い時間帯に個人投資家の大きなポジションがあれば、ヘッジファンドなどの投機筋が個人投資家のストップロスを狙って攻撃を仕掛け、大きな利益を得ようとするのは当然です。
次のXデーは2月11日?
日本では、国民の祝日の一部を従来の日付から特定の月曜日に移動させる「ハッピーマンデー制度」によって、以前より3連休が増えています。
日本国民としては、3連休が増えることは喜ばしいことですが、為替をトレードしている個人投資家にとってはポジションリスクに神経を尖らせなければならず、喜んでばかりもいられません。
直近では、2月11日(月)が建国記念日で祝日となり、2月9日から11日まで3連休となるため、このタイミングでヘッジファンドなどの投機筋が一気に仕掛けて相場を大きく動かしてくる可能性があります。
高金利通貨をロングしている個人投資家は、3連休前にポジションを調整しておくか、あるいはスクエアにしておくなどの自衛手段を取っておいた方が良いでしょう。