BOE総裁マーク・カーニーの発言問題が再燃。その影響力とは?

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carney

英国中央銀行(Bank Of England)は、5月10日に金融政策委員会の協議結果を発表しますが、どうやら今回の利上げは完全に持ち越しとなるようで一時は100%近く市場が織り込んだ利上げの予測が反故になることから、足元ではポンドは主要通貨に対して大きく下落する動きとなっています。

対円でもすでに先月13日につけた153.848円から大幅に下落しており足元では148円を割るところまで下げを加速しています。
この値動きは、単なる予測違いとはいえ、BOEの市場との対話の問題を指摘する向きも増えています。

もちろん、政策はあくまでその時々の状況を踏まえて決定するものですから最終的な結論がでるまでは、市場の見立てはあくまで予測であり、仕方ないといえばそれまでですが、これまでのカーニー総裁のマーケットにむけての発言にも問題があることは事実です。

『利上げは限定的な度合いで段階的に行うことが必要だが、昨年11月に考えていたよりも幾分早期かつ大幅になる公算が大きい』といった発言を総裁自身の口で2月にしていることが、5月の利上げ確率100%といった状況を招いたのではないかとの厳しい非難の声が上がっています。

BOE総裁マーク・カーニー、発言問題とその影響力

1~3月期のGDPは急減速

4月末に発表された1~3月期の英国の実質GDPは、雪の影響などで前期比0.1%増と、伸びが急減速してしまいインフレ率も2.5%まで低下したことから一転して5月の利上げはないという予測が強まり、足元では利上げ確率は16%にまで下落する結果となりました。

(また英シンクタンクの国立経済社会研究所は4日、2018年の英成長率見通し1.4%とし、2月時点の1.8%から引き下げる見通しを発表しています)

これまでもカーニー総裁は、発言を二転三転させることで有名な存在でしたが、あまりにも市場をミスリードさせるような発言が目立つ点には市場参加者からも非難の声が高まっているのが実情です。

物価上昇は一巡も平均賃金も伸びずインフレ圧力は依然強い状況

英国はご存知のとおり、BREXIT決定以降ポンド安から輸入品の値上げりが堅調で、そのわりには平均賃金の伸びが悪く、国民生活はかなり厳しいところに追いやられるようになっています。

当初のBREXIT予想に比べれば大したことではないという見方もありますが、やはりその影響は大きなものになりつつあるようで、BOEが今後どのようにかじ取りをするのかにも注目が集まるところです。

日本国内では武田薬品がアイルランドの製薬大手シャイアーへの買収合意が近いにではないかという思惑からこの時期積極的にポンド円やポンドドルを買う個人投資家がかなり多くみられたようですが、さすがに時期尚早であったようで見事に市場の期待を裏切る形になってしまったようです。

pond/yen

ポンドは対円でも常に大きく動くことで知られる通貨であり、一度動き出すと毎回オーバーシュート気味に展開することからうまく取れた時にはその妙味は大きなものになりますが、2016年のBREXIT決定以降、なかなか難しいい通貨ペアとなっていることは間違いありません。

それだけにBOEの総裁発言は相場に大きな影響をあたえる材料となっていますが、これだけ発言を二転三転させてしまうと中央銀行に対する信任も崩れることになり、カーニー総裁をはじめとするBOEメンバーはより市場との対話に齟齬の発生しないような方法をとることが強く望まれる状況となってきそうです。

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