IR法案成立 統合型リゾート施設でカジノ経済効果はどうなる?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Casino economy

2016年末日本政府はカジノを中心とする統合型リゾート施設(IR)整備推進法案の成立しました。今回は世界のカジノ経済の成長性と分布、日本IR法成立時の市場について分析します。

世界カジノ経済の展望

世界のカジノ経済とその成長率

Marketline社の調査では2020年のチップや入場料も含まれたカジノ、宝くじ、競馬や競艇、パチンコ産業など、全てのギャンブル分野の経済規模は、US$4555億にも上ると予測されています。この数値は2015年から12%増であり、全世界の2015-20年の業界の年間成長率は2.3%と予測されています。

ギャンブル業界の中でも、カジノ業界に限定してみると、Statista社の統計では、2016年の世界のカジノゲーム業界の売上高は全ギャンブル業界の4分の1を占めるUS$1150億に達しているとされています。さらに2017-2021年の期間に世界のカジノゲーム市場は10.16%の複合年間成長率で、急速に成長する分野として注目を集めています。

まだ成長余地のあるカジノ産業

カジノ市場の定義は、ルーレットやブラックジャック、バカラ、スロットマシーンなどのゲームを通じて賭けをするギャンブル施設からの経済規模であり、現在カジノ施設は世界の140以上の国や地域で合法とされています。 その地域は拡大傾向にあり、たとえば期待が高まるフィリピンのカジノゲーム市場はResearch and Markets社の調査では2016〜2020年に9.93%の複合年間成長率で成長すると予測されています。

カジノのビジネスモデルは、商品である賭博サービスに価格は存在せず、価格の代わりに控除率と呼ばれる確率をベースにして利益を生んでいきます。控除率の設定は、施設開発のための初期投資、運営費、人件費などの各種コストに利益を上乗せしてサービスが提供されており、この点については他の事業と変わりはないといえるでしょう。

世界三大カジノの特徴(ラスベガス、マカオ、シンガポール)

世界三大カジノはラスベガス、マカオ、シンガポールとされています。規模や知名度などではラスベガスが一番ですが、実際のカジノ売上高はマカオが年間500億ドルを超え、世界一となっています。マカオの総売上のうちギャンブル収入は約95%の 450 億ドル以上であり、ラスベガスのカジノだけの年間売上65億ドルと比較するとマカオは群を抜いて収入が高いといえます。

マカオにも統合型リゾートも存在し、噴水ショーやホテル、ショッピングモールがありますが、主にカジノの収益が多い点がラスベガスとは大きく異なった特徴となっています。これは、マカオは香港と近く、中国人富裕層が多いことも関係しているのではと推測されています。

一方ラスベガスにおいては、ギャンブルだけが目的でない人も多く、カジノ収益は全体の47%と半分近い数字に留まっています。ギャンブルを目的に訪問する人の割合が年々減少する一方で、レジャー目的の観光客が増加していることも見逃せません。ラスベガスは、カジノだけでなくカジノを含めた幅広いエンターテイメントを提供するレジャー都市として知られていることが分かります。

シンガポールでも統合型リゾートを開業したことにより経済が良くなりました。国外からの観光客が開業以前の2009 年の 970 万人から、開業後には 1520 万人に急増し、売上高も 2015 年には 約50 億ドル、失業率も 2009 年から 2015 年にかけて約 1%減少したそうです。

アジア地域は特に、「増え続ける可処分所得や豊かな生活を送る中流階級の台頭」、「アジアのカジノへの深い文化的な愛着」、そして「新しいゲーム施設のオープンが増えている事実」の、3つの要素がカジノ経済の成長に反映していると、PwCの調査では分析されています。

日本IR法成立とその経済波及効果

新しいゲーム施設オープンの、近年世界的にも大きなニュースとなったのが2016年末の日本のカジノを中心とする統合型リゾート施設(IR)整備推進法案の成立です。日本政府は長年一部の例外を除いてギャンブルを違法としていました。しかし今回カジノを含む統合型リゾートの建設を政府が可決した大きな目的の一つが、年々急増する外国人観光客を見据えて、日本経済を活性化するためです。
「2020年東京五輪・パラリンピック以降にも、インバウンド(訪日外国人客)需要がつながる」といった経済効果に期待を込める声が、IR事業関係者からだけでなく観光や運輸関係者らからも上がっています。

候補地の決定、施設の設計・建設、オープン準備を含めて、識者たちは現実的には統合型リゾート施設は2025年前後になるのではないかと予想していますが、Global Market Advisorsのレポートでは、既に4つのシナリオを想定し、日本でのIR事業からの年間歳入は110億ドルから統合型リゾートの拠点数によっては240億ドルまで達すると推測しています。これは全世界のカジノ経済市場$1150億の10~20%に値する数値です。
Gambling Compliance社のレポートでは、日本のIR市場の採算性は、各地域を比較しても、EBITDA収益率予想がUS$15億と、1位のVenetian Macauの次に大きな収益となる見通しが出ています。

日本のIR市場は、今までアジア地区をリードしてきたマカオとシンガポールに引けを取らない市場と収益が見込めることが分かります。カジノ構想の一環として期待される統合型リゾートは、各自治体からの期待も高く、現在その誘致に向けた競争が日本国内で巻き起こっています。関連分野の投資は今後上がっていく見込みですので、目が離せない状態でしょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。

コメントを残す