米朝首脳会談実現で為替はドル高傾向

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

US-North Korea summit

5月の米朝首脳会談中止宣言から7日後に、トランプ大統領は会談再開へ向けたメッセージと準備を始めました。そこで今回も、6月12日の米朝首脳会談へ向けた準備や現在の状況、ドル円相場の方向性について解説していきます。

中止から一転米朝首脳会談実施へ

トランプ大統領は6月12日に会談開催を発表

トランプ大統領は5月に米朝首脳会談中止を発表し、米朝が緊張状態となりましたが、その僅か7日後に6月12日の開催を再度発表しました。
中止からの一転開催は、世界でも大きく取り上げられ、日本も菅官房長官などが緊急の会見を開くなどしました。

国際政治において首脳同士の会談が行われるという事は、実務レベルで話が済んでおり実際の会談の際には調印式など形式的な内容がほとんどです。
従って開催が発表された段階で円・ドル・ユーロ・元などを含め、市場の方向性も見通しが立ちます。

ただし、今回の米朝首脳会談の場合は、実務協議の準備に関する報道はなされているものの、アメリカはCVID(完全で検証可能かつ不可逆的な非核化)・経済制裁・非核化を前提としたスタンスを変えていません。
対して、北朝鮮のスタンスも経済制裁解除と経済支援を前提としています。
従って先行き不透明感が拭えず、会談後のドル円の予測が明確にならないという訳です。

アメリカのスタンスは変わらず非核化が前提条件

報道発表では、ホワイトハウス及びトランプ大統領等の発表について、会談開催に伴い譲歩を前提とした姿勢に受け取ることができます。
しかし読み解いていくと、経済制裁解除などの文言は非核化を前提とした措置が条件とされており、北朝鮮に対して譲歩する姿勢はないことが分かります。

従って仮に妥協や譲歩がなければ米朝会談は決裂し、一方で妥協や譲歩となれば結果的にアメリカに対する脅威のみが取り除かれ、日本に向けられた脅威はそのままになってしまう可能性も考えられます。

どちらにしても6月4日の報道発表では、米朝首脳会談開催を予定しているので、会談前まではドル買いの材料にしやすく、円安ドル高の方向性と考えられます。

6月4日、金正恩委員長はシリアのアサド大統領と会談予定の報道

国内の報道では、「米朝首脳会談開催決定」や「トランプ大統領の発言」が注目されていますが、海外の報道では北朝鮮も注目されています。
例えば、6月4日に報道されたシリアのアサド大統領との会談予定についてです。

両国とも旧ソ連の勢力下にあった国で、現在も様々な協力関係が取り沙汰されており、1970年代には首脳会談が行われるなど伝統的な友好国ともいえます。

通常時では、首脳会談発表の情報は市場にとってプラスの材料となるのですが、今回の場合は、市場及び米朝首脳会談の開催において影響を及ぼす可能性が考えられます。

その理由としては、シリアは紛争中であり支援国の1つはロシアです。
そして相手は反政府軍と、それを支援する多国籍軍です。
多国籍軍には米軍も入っており、シリアとアメリカは敵対関係です。
そして、その関係性を持つシリアが北朝鮮へ近づいているということは、アメリカの敵対国が北朝鮮へ赴いているということになります。

米朝首脳会談開催日まで相場の方向性はドル高傾向か

米朝首脳会談開催が決定したことや、シリアと北朝鮮の会談予定の報道について6月4日の時点ではドル円に大きな変動はありません。
ただ5月30日を境にして円安ドル高傾向となっており、こちらは主にイタリアの政局に影響されたリスクヘッジの動きと分析出来ます。

従って6月4日の相場は、比較的トレードしやすい環境といえますが、多くのトレーダーが気になるのは6月12日に向けた相場の方向性とその後のドル円相場でしょう。

6月4日時点では楽観的な見方が相場を形成しているので、このまま楽観的な市場が形成され続ければ、少なくとも6月11日まではドル高・ドル買い傾向が続く可能性があります。ただし6月12日以降の相場は、会談結果によって大きく変動する可能性があり、引き続きリスクヘッジも視野に入れる事が大切でしょう。

参考情報
トランプ氏、米朝首脳会談を12日開催と表明|cnn.co.jp

対北朝鮮制裁緩和、非核化に向けた措置が条件 米国防長官|cnn.co.jp

シリア大統領、北朝鮮訪問の意向 金正恩氏と会談へ|cnn.co.jp

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。

コメントを残す