報道によると政府は、2019年に行う予定の消費税10%引き上げに伴う、景気変動対策についての検討に入ったそうです。
ずっと延期になっていた消費税10%問題ですが、再度の延期となるには余程のことがないと無理でしょう。さすがに3度目の正直といいますか。
消費税10%に向け政府が本格的な対策に乗り出すが市場は鈍感に反応
しかし、消費税10%の引き上げは、格差社会が深まっている日本経済において、痛手となることは確実でしょう。
政府の対策というのも増税に対しての一部の減税措置などですから、それならやらなければいいのに、というのは、全国民が思うところだと思います。
実際の話、相場へ与えるインパクトはなかなか大きいものになるでしょうし、人口減がすすみ、働き手が減ってなかなか生産性の上がらない国において増税を行うというのは正気の沙汰とは思いませんが、役所もメンツがありますから、きっと実行をしてくるでしょう。
消費税10%引き上げによってもたらせられる財源は、社会保障制度に必要な財源ですが、その前に2018年時点で既に格差社会が深刻化している現状を改善しなければ、景気の落ち込みは激しいものになることでしょう。
そうして税収が減ってしまっては、元も子もない愚策だと思います。
しかし、この報道を受けて、既定路線の発表で既に織り込み済みだったからか、市場の反応は鈍くイランやシリアの国際情勢や、北朝鮮の非核化問題などよりも、よっぽど経済に与える影響は大きいはずなのに、やはり相場と言うのは人の意志で動かしているというのを実感しますね。
ドル円は111円で天井を付けてからは、国際情勢からドルが嫌気されて、ドル売り円買いの流れが起きている最中だったので、反応は鈍かったですが、このままドル売り円買いの流れが継続したら、ボディブローのように効いてきそうです。
ZTEへの規制緩和がドル買いへの転換点となるか
近々の流れでもっとも為替に影響を与えているのは、米中貿易戦争の行方ですね。
4月にこの問題が勃発した時も、長引く予感がしていたのですが、やはり一筋縄で終わる問題ではなく長期化しています。
現在もトランプ大統領は米企業に対して、中国企業のZTEへの製品販売規制を継続しています。
もともとはZTEという中国の携帯会社ですが、北朝鮮やロシアなどに軍事に転用可能な精密機器を売るということをやっており、米中貿易戦争の一環とはいえ、安全保障の問題も絡んでおり、なかなか厄介な問題だと思います。
トランプ大統領は13億ドルの罰金と経営陣の入れ替えを求めていますが、中国側がどの程度要求を呑むのかも今後の注目ポイントになりそうです。
とはいえ、このZTEに対して部品のサプライヤーは米国の企業だったりするので、制裁を長引かせると米国の企業にとっても痛手となってしまい、トランプ大統領にとってもポーズの意味合いは大きいと思いますけどね。
今後は、中国政府がZTEの経営陣を総入れ替えし、その見返りとして米企業が製品販売の措置を解除するかもポイントとなりそうです。
米中貿易戦争の行方も、このZTE問題が試金石になって、方向性が決まっていくかもしれません。