FXについて調べていると、色んな用語が出てきます。
「証拠金維持率〇〇%」とか、「レバレッジ〇〇倍」とか、「追証なし」などなど。
難しそうな単語の理解は後回しにしたいところですが、当然お金に関係してくる事なので、しっかりと理解しておきたいところ。
ここではFX初心者向け基礎知識として、様々な用語の説明をしつつ、海外FX業者ごとの違いについても触れて行きたいと思います。
証拠金とは?関連用語の解説と計算方法
「FX」は「Foreign Exchange」 の略で、正式には「外国為替証拠金取引」と言います。
でもこの「証拠金」とは何なのか。まずはここからお話していきます。
必要証拠金とは?証拠金とは違う?
取引の際に取引を約束するための担保金を「証拠金」と言います。
もともとは商品先物取引で使われる用語で、担保金の範囲で取引できるというシステムです。
また、FX取引でポジションを取る際に必要な証拠金を「必要証拠金」と言い、その取引額に比例して変化します。
もしFX口座内に所有している証拠金が、あるポジションの必要証拠金より少ない場合は、そのポジションの注文は出来ません。
必要証拠金の計算方法は?
では「取引額に比例して変化」する「必要証拠金」は、どのようにして計算するのか?
これを求めるには、「レバレッジ」が関係してきます。
(※レバレッジに関しては後述)
仮に、ドル円の為替レート「100.000」の時に「1万通貨」を買いでエントリーするとします。
「100.000円」を「1万通貨」ですから、価格は「100万円」です。
ここにレバレッジを「100倍」かけていた場合、このポジションの必要証拠金は「1万円」となります。
計算式はこうなります。
為替レート(100.000円)×購入通貨(1万通貨)÷レバレッジ(100)=必要証拠金(1万円)
有効証拠金とは?含み益、含み損とは?
ポジションを保有している際、その時点でFX口座内から取引できる証拠金の事を「有効証拠金」と言います。
また、保有しているポジションを、現時点のレートで決済した場合に発生するであろう利益を「含み益」、損失を「含み損」といい、まとめて「評価損益」といいます。
保有する証拠金から評価損益を差し引いた合計が「有効証拠金」となり、「あとどれだけの取引ができるか」や、「今の資金の損益はいくらか」等の参考になります。
難しく考える必要はありません。
例えばあなたが10万円の証拠金を保有しており、あなたのポジションが+1万円の利益が出ていれば、あなたの有効証拠金は11万円となります。
この有効証拠金は、決済・未決済全てのポジションや、ボーナスを含みます。
余剰証拠金とは?意味と計算方法
「有効証拠金」から「使用した証拠金(必要証拠金)」を引いた金額の事を「余剰証拠金」と言います。
これは新しいポジションをオープンするために利用可能な証拠金です。
計算方法は、
有効証拠金-必要証拠金=余剰証拠金
という事になります。
「有効証拠金」が為替レートの変動で変わるので、「余剰証拠金」も同時に変化していきます。
具体的には、含み益が余剰証拠金に加えられ、含み損が余剰証拠金から差し引かれていきます。
証拠金維持率とは?計算方法は?
保有しているポジションの必要証拠金に対する、有効証拠金の比率を「証拠金維持率」と言います。
例えば、口座残高(証拠金)が「2万円」あるとします。
ドル円「100.000」の為替レートで「1万通貨」(=100万円分)を、
レバレッジを「100倍」かけて購入したとします。
この場合の必要証拠金は「1万円」です。
そのあとレートが少し下がって「99.500」になると、「1万通貨」の価値が「99万5千円」になり、「5千円」の含み損になります。
この時の有効証拠金は「1万5千円」となるので、
必要証拠金「1万円」に対する有効証拠金の比率は「1万5千円/1万円」で「150%」という事になります。
計算式にすると、
有効証拠金(1万5千円)÷必要証拠金(1万円)×100=証拠金維持率(150%)
となります。
レバレッジとは?証拠金との関係・計算式
「証拠金」と関わりが深い言葉と言えば、「レバレッジ」という用語があります。
FX業者を選ぶ際にも「レバレッジ」の違いを参考にしたりなど、FXにおいて特に重要なシステムです。
このシステムにより取引額全てのお金をやり取りせず、生じた損益分のお金のみを取引できるため、非常に資金効率が良いと言えます。
レバレッジとは?意味と仕組み。
「レバレッジ」という単語を辞書で調べると、「他人の資本を使う事で自己の資本の利益率を高めること、またはその倍率」などと書かれています。
「他人の資産を使う事で…」とありますが、なぜそんな事が可能なのか?
FXは商品の売買をするわけではなく、お金とお金の取引なので、その中で生まれた差額分だけを決済する事が出来るのです。
国内のFX会社では、国内法により最大で25倍までのレバレッジが認められています。
これは仮に1万円の証拠金があったとしたら、最大レバレッジの25倍をかけると、「25万円」の取引をする事が出来るという訳です。
ちなみに海外FX業者は、日本の国内法の制限を受けず、「500倍」「1000倍」と言った最大レバレッジを設定できます。
レバレッジが大きくなることのメリットとして、「必要証拠金が少なくて済む」という事が挙げられます。
必要証拠金の計算方法
では、これから取引をするポジションの「必要証拠金」を計算したい時はどうしたらよいか、例をあげて考えてみます。
仮にドル円のレートが「100.000」だったとして、「1万通貨」購入した場合、価格は「100万円」です。
もしそこに「25倍」のレバレッジをかけた場合、その必要証拠金は「4万円」となります。
式にするとこうなります。
為替レート(100.000)×購入通貨数(1万通貨)÷レバレッジ(25)=必要証拠金(4万)
レバレッジと必要証拠金の一覧
次に、レバレッジの違いで必要証拠金がどう変わるのかまとめます。
仮にドル円の為替レートが「100.000」として、「1万通貨のポジション」を持つ時とします。
レバレッジ | 25倍 | 50倍 | 100倍 | 500倍 | 1000倍 | 2000倍 |
---|---|---|---|---|---|---|
必要証拠金 | 4万円 | 2万円 | 1万円 | 2,000円 | 1,000円 | 500円 |
追証とロスカット(リスクとメリット)とは?
「レバレッジ」について簡単に説明しましたが、もちろんそこにはメリットとデメリットがあります。
レバレッジをかける事で元手を増やすと、より大きく稼げますが、それは同時に損失が大きくなる可能性もあるという事です。
損失が大きくなった時に何が起こるのか、リスク管理をする上で知っておく必要があるでしょう。
強制ロスカットとは?意味と仕組み
FXには、トレーダーが元手以上の損失を負わないよう、「強制ロスカット」というシステムがあります。
「ロスカット」は「損切り」を意味し、
「強制ロスカット」は「強制決済」を意味します。
具体的には、保有しているポジションの含み損が大きくなり、証拠金維持率が一定のラインを下回った時に、FX業者により自動的に決済が行われます。
何%の証拠金維持率によって「強制ロスカット」が行われるかは業者によって異なり、「強制ロスカット」が行われる数値を「ロスカットレベル」、または「ロスカット水準」と言います。
追証とは?借金と同じ?
ではこの「強制ロスカット」があれば絶対に安全かというと、そうとも言い切れません。
相場の急な変動が起こった時に「強制ロスカット」が追い付かないという現象が起こり、それにより口座残高がマイナスになる可能性があるためです。
このマイナス分をFX業者から請求される事を「追証」と言い、債務扱いになってしまいます。
ゼロカットシステムとは?救済措置?デメリットは?
「追証」の事を考えると、大きなリスクを取りにくく思えます。
最大レバレッジが大きい海外FXではスプレットも広く、海外FXを選ぶメリットが少ないようにも感じてしまうでしょう。
しかし海外FXには「ゼロカットシステム」というものが存在しています。
「ゼロカットシステム」は証拠金以上の損失をゼロにしてくれるシステムです。
残高が「-100万円」になろうが「-1億円」になろうが、マイナス分をFX業者が肩代わりして、口座残高をリセットしてくれます。
「ゼロカットシステム」自体にはトレーダー側からのデメリットは特にありません。
なぜ国内FXにゼロカットシステムは無いのか?
ではなぜ国内FXに「ゼロカットシステム」が存在しないかというと、「ゼロカットシステム」が「損失補てん」と呼ばれる行為にあたり、これが日本国内の法律によって禁止されているためです。
これは顧客の損益に関わらずに平等にリスクを負い、証券会社が顧客を公平に扱うための法律で、証券会社を守るために存在していると言えます。
FX業者比較(最大レバレッジとロスカット)
さて、ここまで様々な用語の解説をしてきましたが、ここで一度、FX業者が具体的にどう設定しているのか見ていきます。
「ゼロカットシステム」を採用している主なFX業者の、「最大レバレッジ」と「ロスカットレベル」を表にしてみたいと思います。
FX業者選びの参考として頂ければ幸いです。
FX業者 | 最大レバレッジ※1 | ロスカットレベル |
---|---|---|
FBS | 3,000倍 | 20%以下 |
HotForex | 1,000倍 | 10%以下※2 |
XM | 888倍 | 20%以下 |
LAND-FX | 500倍 | 30%以下 |
TitanFX | 500倍 | 20%以下 |
AXIORY | 400倍 | 20%以下 |
TradeView | 500倍 | 100%以下 |
iFOREX | 400倍 | 0% |
※1「最大レバレッジ」は各口座ごとに異なります。
※2マイクロ口座の場合。その他は「20%以下」
実際の変化は?何pipsでロスカット?
上の表を見ると、各業者ごとの特徴がみえてきます。
しかし実際の取引の中で、「何pips」の損失で「ロスカットレベル」に達するのか?
ここでは「最大レバレッジ888倍」の「XM」を例に出して考えてみたいと思います。
まず、保有している証拠金が「20万円」あったとします。
そして、ドル円の為替レートが「100.000」の時、「10ロット(100万通貨=1億円)」を買いでエントリーするとします。
証拠金は「20万円」なので、レバレッジを「500倍」かけます。
必要証拠金の求め方は「為替レート×購入通貨÷レバレッジ」ですので、
「100.000」×「100万」÷「500」=「20万」
となり、「必要証拠金20万円」となります。
この条件下では「1pips」ごとの変動で損益の変化がどうなるかまとめます。
為替レート | 損益 | 証拠金維持率 |
---|---|---|
100.100(+10pips) | +10万円 | 150% |
100.050(+5pips) | +5万円 | 125% |
100.010(+1pip) | +1万円 | 105% |
100.000(±0pip) | ±0円 | 100% |
99.990(-1pip) | -1万円 | 95% |
99.950(-5pips) | -5万円 | 75% |
99.900(-10pips) | -10万円 | 50% |
99.850(-15pips) | -15万円 | 25% |
99.840(-16pips) | -16万円 | 20% |
この場合、「1pip」の為替変動ごとに「1万円」の損益が出る事が分かります。
そして、「16pips」下がった時、「XM」のロスカットレベル「証拠金維持率20%以下」に達するため、ここで「強制ロスカット」が行われる事になります。