FOMCのハト派への転向 10月以降に利下げの可能性

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ハト派に転じたFOMC、10月に利下げの可能性も

米連邦公開市場委員会(FOMC)は、今月19・20両日に開いた定例会合で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を2.25-2.50%のレンジで据え置きました。

また、昨年12月時点で2回としていた今年の利上げ回数予測をゼロに引き下げ、保有資産の縮小を9月に停止する方針も明らかにしました。

今回のFOMC声明では、将来の金利変更の判断において「辛抱強くなる」と表明、パウエル議長は記者会見で、「辛抱強いとは、判断を急ぐ必要がないという意味だ」と説明し、「政策変更を明確に必要とするほど雇用とインフレの見通しが変わるには、しばらく時間がかかるかもしれない」と述べました。

FRBの大きな政策転換に、マーケットでは驚きの声が上がっています。

ハト派に転じたFOMC、10月に利下げの可能性も

事実上の利上げ終了か

特にサプライズとなったのは、マーケットのコンセンサスでは最低1回となっていた2019年の利上げ回数予測がゼロになったことです。

金利見通しを示すドット・チャートでは、年内の利上げを示す当局者11人のドットがゼロとなり、大幅な下方修正となりました。

マーケットでは、引き下げはドット1つ程度と予想されており、11人のドットがゼロとなったということは、事実上年内の利上げがないとのコンセンサスを示したことになります。

なお2020年については、参加者17人の中央値が「1回の利上げ」となりました。

7人が「ゼロ回」を主張する一方で、1回以上の利上げを見込む参加者が10人とFOMC参加者の見方は割れており、2020年の利上げシナリオは、成長率やインフレ率がどこまで高まるかにかかっています。

量的引き締めも9月に終了

またFOMCは、同時に発表した付属文書で、バランスシートの縮小ペースを5月に鈍化させ始めることも表明、米国債の縮小額を月最大300億ドルから同150億ドルに減らし、9月末には縮小を停止することを明らかにしました。

FRBは、2008年の金融危機後の量的緩和で米国債や住宅ローン担保証券(MBS)を大量に買い入れた結果、資産量は危機前の9千億ドルから4兆5千億ドルに膨張、市場に流れ込んだ緩和マネーが金融システムを下支えしてきました。

当初FRBは、2021年から2022年にかけて終了することを想定し、景気回復に伴って2017年秋から保有資産の縮小に転じていましたが、海外経済の減速や世界的な株価下落で、早期に終了することを決めました。

予定を大幅に前倒ししたことにより、資産量は現時点の約4兆ドルから3兆5千億ドル強に減る見込みですが、市場には緩和マネーが大量に残されることになります。

ECBの対応に酷似

こうしたFRBのハト派的な政策スタンスへの転換は、ECB(欧州中央銀行)の対応と酷似しています。

ECBは、3月7日に開催された政策理事会で、政策金利にかかわるフォワードガイダンスの修正と、ターゲット型長期流動性供給第3弾(TLTRO3)の実施を決定しました。

フォワードガイダンスについては、これまで声明文に「少なくとも2019年夏までは低金利を維持」と記載されていましたが、今回の決定では「少なくとも2019年末まで」と低金利据え置きの期間を延ばしています。

また景気見通しについても、2019年のユーロ圏の実質GDP成長率をプラス1.7%からプラス1.1%へ0.6%ポイントも引き下げるなど、大幅に下方修正しています。

これに伴い、当初は夏が終わる今年9月頃に予定していた初回利上げを延期するだけでなく、9月に新たな資金供給制度を開始することを発表し、金融緩和を進める方針まで打ち出しました。

ECBとしては、2020年の初めには利上げをしたいと考えているようですが、利上げの時期は遅れるものと見られています。

10月以降に利下げの可能性も

今回のFRBの政策転換は、ユーロ圏経済にとってハト派と受け止められたECBよりも、さらにハト派に転じたと見られています。

20日の外国為替市場では、FRBが市場予想を上回るハト派姿勢を示したことで、ドル円は発表前の111円台半ばから110円半ばへ約1円急落しました。

パウエル議長は、記者会見で利下げの可能性について「現時点でどちらかの方向に動く必要性を示すデータはない」と述べました。

しかし、FRBは成長支援策は取っていないことから、景気は引き続き減速すると予想され、年内10月以降に利下げがあってもおかしくありません。

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