ついにメイ首相が辞任、EU離脱問題ブレグジットはどうなる?

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メイ首相辞任残された離脱シナリオ

今月24日、メイ英首相は6月7日に保守党党首を辞任すると表明しました。

保守党はメイ首相の辞任を受け、通常7月下旬に始まる夏季休暇前に新党首を選出すると表明、メイ首相辞任の翌週に新党首の選出に着手します。

欧州連合(EU)離脱を巡る混迷の責任を取った形ですが、7月末までに就任するとみられる次期首相は、EU離脱に対しメイ首相より強硬な路線をとる公算が大きく、EUとの軋轢が増し、政治的な混迷が一段と深まる可能性があります。

メイ首相辞任後のブレグジットをめぐる英国の動きについて、今後のシナリオを予想してみます。

ブレグジット:残された離脱シナリオは?

シナリオ1:合意なき離脱

メイ首相の後任となる保守党党首の候補として、ボリス・ジョンソン前外相、ドミニク・ラーブ前EU離脱担当相、マイケル・ゴーヴ環境相、ジェレミー・ハント外相が有力視されています。

この中では、ラーブ氏が「合意なき離脱も辞さない」という強硬派ですが、他の3人もEUとの交渉がまとまらなければ、「合意なしの離脱もやむを得ない」という立場のようです。

今のところ、ボリス・ジョンソン氏が勝利する可能性が高いと見られていますが、支持者と不支持者がはっきり分かれるジョンソン氏に比べて、調整力に長けているゴーヴ氏の方が期待できるとの見方もあります。

まだ誰が勝利するかはわかりませんが、いずれにしてもメイ首相よりも強硬な離脱を主張する人が党首になるのは確実で、合理なき離脱となる確率はこれまで以上に高まっています。

シナリオ2:合意ある離脱

もし強硬離脱派の新党首・首相が誕生した場合、EUに対して英国が有利になる離脱条件を要求してくるはずです。

しかし、今のところEU側は11月に合意した離脱協定(WA)以外の離脱協定を受け入れる姿勢は示しておらず、「合意のある離脱」となる場合はWAが合意の基本となります。

英国は、WAに基づく離脱の後、EUとの関税同盟締結や単一市場残留のような穏健な離脱を目指すのか、EUとFTAを締結するなどややEUと距離を置く将来関係にするのか、或いはWTOルールの下で何の協定も結ばないのかといった選択を迫られます。

つまり、ブレグジットの形としては、「WA+関税同盟」「WA+FTA」「WA+WTO」という選択肢になり、「WA+関税同盟」が選択される可能性が相対的に高まっています。

英国があくまでWAの修正を望むことは可能ですが、EU側はWAのうちアイルランド島のバックストップ問題に関する部分の修正に一切応じていません。

今後英国で離脱強硬派政権が誕生した場合であっても、EU側の対応は変わらないでしょう。

シナリオ3:二度目の国民投票から「離脱なし」へ

そして最後に残される選択肢が、二度目の国民投票からの「離脱なし」です。

メイ首相の下で国民投票を実施する場合、離脱協定案を選択肢に盛り込む必要があるため、選択肢の選定自体が難航するという問題がありましたが、新しい首相の下で国民投票が実施される場合、国民に問う選択肢が「合意なき離脱」か「離脱撤回」かの二者択一で、選択肢が明瞭になるメリットがあります。

しかし、「国民投票から離脱なし」への道のりは決して簡単ではありません。

解散総選挙を実施し、その上で国民投票法を成立させ、国民投票で「EU残留」という結果になることが必要となります。

また、議会が国民投票の再実施を決めた場合、英国は投票への選挙運動のために十分な時間を確保するため、EUに離脱期限の再延期を求めざるを得なくなり、EU側が英国との再交渉に応じるか不透明です。

今後予想されるシナリオを整理してみると、これまで合意なき離脱の可能性は極めて低いと考えられていましたが、ここ数週間の離脱協議と英国の政局を取り巻く環境は、合意なき離脱のリスクがこれまで考えていた以上に高まっていることと、そのリスクを巡る不透明感が長期化する可能性が浮き彫りになります。

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